五反田計画ITベンチャーと地域の共創メディア

一覧へ戻る

五反田バレーのクリエイターはこれを見てる (第8回:モビルス三谷佑介さん)

  • line

五反田バレー企業の社員がおすすめコンテンツを紹介する連載「五反田バレーのクリエイターはこれを見てる」。第8回は、サポートテックカンパニーであるモビルス株式会社のデザイナー三谷佑介さん。デザイナーとして働くうえで役に立っている書籍や、他業種から参考にしている書籍も紹介いただきました!

プロフィール

モビルス株式会社 三谷佑介さん
部署:UI/UXセクション
肩書:デザイナー
担当業務:製品UIデザイン
勤続年数:2年

デザイナー三谷さんのおすすめコンテンツ

『デザインの教室 手を動かして学ぶデザイントレーニング』

タイトルに教室とあるように、本書はデザインの入門書です。

最近は検索すれば綺麗な配色の作り方、流行りのレイアウトなどを簡単に知ることができます。しかし、見つけたものを組み合わせただけでは、ちぐはぐな印象の画面が出来上がるだけです。

デザインされた画面にするには根拠が必要で、本書ではそれを明確に言葉で教えてくれます。

例えば、次のような説明があります。

内的必然性がデザインを形作る

配置されたオブジェクト同士が関係し合って、互いにその配置の根拠となり、その配置であることが必然的な表現であるかのように見えることを「内的必然性」といいます。

-グラフィックデザインにとって倫理とは何か(12ページ)より

あまり見ない単語ですが、内的必然性とは、画面内の配置にはすべて理由があり必然性があるという意味の言葉。つまり、それを満たすものだけが「デザインされているもの」といえるのです。

実際に、私がデザイナーとして働き始めて間もない頃、とにかく隙間を埋めてそれらしい画面を作成していました。しかし、上司はそれを見抜いていたのでしょう。私は上司からの質問に答えることができず、「画面のどこを聞かれても説明できないと駄目だよ」と注意を受けました。

根拠のないデザインは言葉で説明できないため、画面に説得力が生まれないのです。

この本に書かれた言葉は、自分が何をしているのか改めて考えるきっかけをくれました。本書は言葉でデザインを分解して教えてくれる良書なので、自分の仕事を説明するときなどに参考にしています。

・ご紹介コンテンツ

デザインの教室 手を動かして学ぶデザイントレーニング』(佐藤 好彦 著エムディエヌコーポレーション

『デザインの伝え方』

この本はデザインの作り方ではなく、伝え方に重点をおいた珍しい本です。

具体的には、組織内でのステークホルダーへの接し方(言葉遣い・態度・心構え)について学ぶことができます。

デザイナーの部署があり人数の多い組織では教わることができるかもしれませんが、自分は組織内でデザイナーが1名から数名の会社で多く働いてきたため、この本にはとても助けられました。

専門家でもない人が専門家の仕事に意見する権限を持つーーこれは現代の組織において、デザイン以外の分野ではほぼあり得ない現象です。

-2章 偉大なデザイナーは偉大なコミュニケーター(22ページ)より

あんまりな言葉ですが、デザイナーとして組織で働いた経験のある方は、共感できるのではないでしょうか。デザインは主観も入るため、意見と感想を選り分けて、受け止めて反映し、再度同じことを繰り返す……。

これに関しては悲観するのではなく、デザインとはそういうものなんだと受け止め、その上でデザイナーとして提示できることを探す方が建設的です。

さらに、本書ではデザイナーのとるべき行動も示されています。

その仕事にどのような価値があるのか、そしてそれはなぜなのかをきちんと説明し証明する責任も負わなければなりません。

-2章 偉大なデザイナーは偉大なコミュニケーター(24ページ)より

デザイナーはデザインの目的やユーザーへの影響など、伝えるべきポイントを関係者に理解してもらう必要があります。また、組織内での合意を得ることも業務だと捉え、自分の仕事の判断材料も用意しなくてはなりません。

ここでは、責任を負うと書かれていますが、画面を作ればいいと奢らないように定期的に読み返している本でもあります。

・ご紹介コンテンツ

デザインの伝え方』(Tom Greever 著/坂田 一倫 監修/武舎 広幸  翻訳/武舎 るみ 翻訳/オライリージャパン)

『ホテルに学ぶ図書館接遇』

自分の業務に慣れて向上心が停滞しそうになったら、他業種の本から刺激をもらうようにしています。

接遇とはマニュアル通りの接客とは違い、よりゲストに合わせた対応を行う技巧のことです。この本は著者の加納尚樹さんがホテルの接遇技巧を、図書館に反映した改善案がまとめられています。

例えば、接遇技巧の中で「秒の意識を持て」とあります。具体的には、話すスピード・動き・声のトーン・呼吸・心拍に意識を向けるそうです。秒のスピードコントロールによってゲストに行動を促し、余計な仕草や言葉を極力省き満足度をあげていきます。つまり、コントロールできる箇所を細分化し、ゲストに負担をかけない気づかいを、常に秒単位で意識し、改善していくのです。

デザイン業務に置き換えると、画面上でのオブジェクトの動きやレイアウトで注目させる箇所を作る時の考え方に応用できそうだと思っています。

人と人の間にものがあれば、それはすべてSERVICE業だと筆者は考えます。

-まえがき(11ページ)より

なかなかハッとする言葉ですが、IT業界にいる自分もユーザーとの間にはディスプレイがありますから、その意味ではSERVICE業なのかもしれません。

この本を読むと、そんなところまで考えるのかと驚きますが、スペシャリストであるためには、そこまで考え抜かないと足りないのでしょう。

スペシャリストは仕事に対する姿勢を表す自分なりの言葉を持っています。彼らの言葉が自分の仕事だと何に当てはめられるのか、行ったり来たり考えを巡らすことが勉強になっています。

・ご紹介コンテンツ

ホテルに学ぶ図書館接遇』(加納 尚樹 著/青弓社)

 

文/まつもともと 取材・編集/ノオト

  • line
参考になったらクリック
クリックありがとうございます!

こちらの記事についてご意見、コメントがございましたらお願いします。
コメントは非公開であり、今後の五反田バレーの運営のために参考にさせていただきます。

コメントの送信ありがとうございます!

おすすめの記事