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在宅勤務における“飽き”のマネジメント 気分転換に取り組む「ちょい家事」のすすめ:五反田計画コラム

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結局のところ、在宅勤務というのは「飽き」との戦いなんだと思うんですよ。

身支度や出社というルーチンを挟むことなく、ずっと自宅にこもりきりで、その時その時でやってくる仕事をさばき続ける。そして休日も平日もずっと家にいる……。その結果やってくるのが「自宅で、机に向かっているのに飽きた」という気持ちです。

出社していれば「ちょっと近所を散歩に」なんてこともできますが、在宅勤務のときはそうもいきません。「ちょっと散歩」も案外面倒ですし、YouTubeに逃げるのは会社員としてNG。結果としてなんとなくスマホを触りだしたらがっつり時間を奪われた……なんて経験がある人もいるかと思います。いるよね?

もう就業後に食器だらけのシンクを見て絶望したくない

申し遅れました、私『五反田計画』編集部の伊藤と申します。普段はWebメディアの編集や記事執筆の仕事をしていて、当メディアでは編集部員同士の座談会記事を執筆しています。

ライターや編集者というのは、原稿の編集・執筆といった比較的大きめなタスクの隙間に、連絡業務のような小さいタスクを詰め込む仕事です。

なにから手を付けていいかわからない大きなタスクに対し、最初に着手するときの心理的なハードルの高さは皆さんも御存知の通り。在宅勤務に不慣れな頃の私は、「やらないといけないけど、気が進まない」タスクを大量にかかえ、業務時間は夜へ夜へとダラダラ延びていきました

そして、やっとこさその日の仕事をすべて終え、デスクから離れた私の目に飛び込んでくるのが、昨日の夜から丸一日分溜め込んだ、食器だらけのシンクです

本来だったらこのまま夕食の準備に入りたいのに、先のこの山を切り崩さないことには次の作業がはじめられない。このような絶望に度々遭遇したことで、「仕事をしながら、食器を溜め込まずに処理をする」ことを考えるようになりました。

書きたいことを一言でまとめると、「在宅勤務中、仕事に飽きたタイミングで、家事を“ちょっとだけやる”習慣をつけてみては?」「そして軽い気分転換ができれば、かえって仕事の効率も上がるのでは?」という提案です。まだ実験中で不完全な部分もありますが、「時間の使い方の提案」としてご覧ください。

初級編:食器洗いは「食器を洗う」単発タスクではない

在宅勤務のスキマ時間で食器洗いを行うコツは、「食器洗い」という家事を、「食器を洗う」「乾いた食器を片付ける」という2つのタスクに分けて考えることです。

前提として、私は「食器洗い」という家事が嫌いです。そもそも賃貸物件のキッチンはシンクが低すぎて男性のサイズにはあっていない……という愚痴はさておき、家事をやる自分の感情を分析した結果、以下の瞬間で、私の「嫌い」がピークに達することがわかりました。

まずは「水切りラックの面積に限りがあって、たまったすべての食器を一度に洗いきれない」とき。そして「食器洗いの気持ちになったのに、水切りラックがいっぱいで、洗い物にすぐ着手できない」ときです。よくよく考えると、私は今まで「片付ける」タスクを意識していなかったので、先のような「嫌いな瞬間」に遭遇していたのです。

まず「食器を片付ける」ことは、「食器を洗う」と並列の立派なひとつのタスクなのだと理解しましょう。そしてデスクワークのスキマ時間、ちょっと休憩したくなったときに「食器を片付ける」と「食器を洗う」を交互に行うのです

コツは、一度に洗う食器は「自分が飽きない程度の量」に収めておくこと。私がよくやるのは「コーヒーを淹れるためのお湯が沸騰するまでの時間で食器洗い(もしくは食器の片付け)」。そうすれば、ラックがいっぱいになることを避けつつ、自分のタイミングで食器洗いに着手できます。

ちなみに、こういった「大きめなタスクに着手する際、まずは手近な課題のクリアを目標にすること」を、ビジネス用語で「ベイビーステップではじめる」と言うようです。提案資料作成をベイビーステップではじめるように、食器洗いをベイビーステップではじめてもいいではありませんか。

1度に洗う量は控えめにしていても、1日のなかで度々食器洗いをすることで、21時になったときにシンクはだいぶスッキリしているはず。手を水で流すので気持ちがよく、ちょうどよい刺激が得られることも「仕事の合間に食器洗い」の嬉しいポイントです。

豆知識ですが、お湯で洗えば食器が乾くまでの時間も短縮できます。さらなる効率化を図りたい人は是非。

中級編:洗濯機をポモドーロタイマーとして活用する

そう考えると、衣類の洗濯は「衣類を仕分けて洗濯機を動かす」と「洗濯物を干す」、「洗濯物を取り込んで、たたむ」の3つのタスクが複合された家事である、ということがわかります。

細かく分解すれば空いた時間に着手しやすくなるのは食器洗いと同様ですが、洗濯のポイントは「洗濯機のスイッチを入れる」ことと「洗濯物を干す」ことの間に一定のアイドリングタイムが設けられていることです。

洗濯物の量にもよるものの、一般的な設定での洗濯時間は40分〜1時間程度。なんとなく「帯に短し襷に長し」な時間ですが、この「1時間後には再びデスクから離れないといけない」という特性を利用しない手はありません。これを「抱えている細々としたタスクをまとめて消化してしまう時間」と考えるのはいかがでしょう。

例えば、「準備資料の取りまとめ」や「タスクシートの更新」など、必要以上の時間をかけずにやってしまいたい作業をこの時間に行ってしまうのです。着手する仕事は、「1時間程度で終えられるもの」もしくは「1時間以上かけずに終えたいもの」であれば何でも大丈夫。

これは、言ってしまえば「洗濯機をポモドーロタイマーとして活用する」試みです。

1時間後には間違いなくアラームが鳴るので、終わっていない仕事に対して「早くやらなくちゃ!」という気持ちになるのも嬉しいところ。そして洗濯機を開けると、汚れが落ちて清潔になったタオルが待っています。

洗濯物の最後の工程「取り込んで、たたむ」は、他の作業と比べて「ながら作業」がしやすいため、「たたむのは就業後に、テレビを見ながら」という消化の仕方もありです。「仕分け」「干す」がながら作業でできるかどうかは住宅事情にも左右されるため、生活スタイルにあわせて取り入れてみてください。

上級編:17時以降の「だれる時間」に夕食を仕込む

最後に紹介する方法はかなりの上級編で、私自身もなかなか実践できていない「理想のスキマ家事」です。

誰でも、「どうしても17時頃は集中できない」というような「1日のうちでダレがちな時間」があるかと思います。どうしても仕事が手につかないなら、いっそのこと、その時間を別の単純作業にあててしまうのも良いのではないでしょうか。例えば、ジャガイモの皮むきとか

一般的にカレーやポトフは「簡単でシンプルな料理」とされていますが、その前段階にあるのがタマネギの細切りやニンジンの乱切りといった膨大な単純作業です。作り置きできるメニューは平日に料理ができないビジネスパーソンの強い味方ではあるものの、この「煮込む前の単純作業」がそのハードルを高めてしまっているのではないでしょうか。

そこで、先の夕方のダレてくる時間を夕飯の仕込みにあてることにしましょう。短めに見積もっても30分程度はかかり「スキマのタスク」ではないですが、これも自分の“飽き”のマネジメントです。夕飯の料理時間を前倒ししたと考えれば、決して無駄な時間ではありません。

夕飯のメニューによりけりですが、この時間を下ごしらえにあてれば、夜まで「煮込み」の行程をたっぷり取れるのもポイント。おすすめはカレーやポトフ、具だくさんの豚汁など、「具材を切って煮込む」行程が重要なメニューです。そして、最後の仕上げは仕事が終わってからでもOK。

仕事が終わったとき、家事がそこそこ片付いている安心感

在宅勤務の合間にちょこちょこ家事を行うことの一番のメリットは、その日の仕事を追えたときに、家事がある程度片付いている状態になっているということです。

もちろんスキマ時間で行っている以上「完全に終わっている」のは難しいでしょう。しかし、仕事が終わってから洗わないといけない食器が半分になっている、というだけで気持ちはだいぶ楽になります。そして、家事に関する細かいタスクを片付けていくことで、小さな「やった感」が得られるのも大きなポイントです。わかりやすい言葉にすると、心に優しい。

とはいえこの方法は、本来だったらダラダラと過ごしていた休憩時間に別の作業を詰め込む、という考え方でもあります。なので、丸一日このような時間の使い方をすると、普段より疲れが早くたまるようになります。空き時間は休憩と家事を交互に挟むなど、無理のない方法での実践がおすすめです。

また、先にもお伝えしたように私自身もこの方法は研究中で、まだ改善の余地があると思っています。実践してみて気がついたことがあれば、ぜひ教えてくださいね。

文=伊藤 駿/編集=ノオト

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