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VRアーティストせきぐちあいみさんが、コンシェルジュに徹してVRスポットを案内する理由

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「Oculus Rift」「VIVE」「PlayStation VR」など、高性能なヘッドマウントディスプレイが相次いで発売され、VR元年といわれた2016年。今ではゲーム業界だけでなく、医療や建築、製造現場などでの活用が進んでいる。しかし、一般にはまだまだ普及しているとは言えず、いまだVRの世界を実際に体験したことのない人が多数派という現状だ。

そこで今回は、世界的なVRアーティストとして活躍中のせきぐちあいみさんに、都内のオススメVR体験スポットも教えてもらうべく、新宿にある話題のVR施設にお邪魔した。

取材協力 VR ZONE SHINJUKU

せきぐちあいみさん。 2016年からVRアーティストとして活動を開始。GoogleのVRペインティングソフト「Tilt Brush」を使ったライブパフォーマンスが国内外で好評を博している。2017年2月には、クラウドファンディングで初のVR個展を開催。YouTuberやテレビ番組レポーター、番組アシスタントとしての顔も持つ。 公式サイト:SekiguchiAimi VR Art Gallery

空間に描く感覚は、まさに「魔法」

地上200mで猫を助けるアトラクション「極限度胸試し高所恐怖SHOW」を体験中のせきぐちさん。リアルな360度映像と吹きつける風が恐怖心をあおる

アイドルやタレント活動を経て、現在はVRアーティストとして活躍中のせきぐちさん。偶然、取材で訪れたとある会社でVRを体験して以来、すっかりその魅力に取りつかれてしまったという。

「VRにはまったのは2015年の夏ぐらい。その時に初めてGoogleが開発した「Tilt Brush」というVRペインティングソフトを使わせてもらったのですが、空間に立体が描けるのが楽しくて。『これは魔法だ!』と思うくらい衝撃的な体験でした」

すぐに自宅にVR機材を買い集め、やがて個人的にYouTubeやTwitter上に制作過程や作品をアップするように。それを見た人たちから声がかかり、VRイベントなどでライブパフォーマンスを始める。「VRアーティスト・せきぐちあいみ」の誕生だ。

VRで屏風と現実世界を行き来する孔雀を描いた作品(公式サイトより)動画はこちら

「自分が描いた世界に、人が入り込んでもらえるのがすごくおもしろかったんですよね。もともと絵やイラストを描くことは好きでしたが、特別な教育を受けたことも、仕事にしようと思ったこともありませんでした。楽しんで描いているうちに、いつの間にかこうなったという感覚です。以前から3Dペンを使って制作をしていたので、空間に描くことが本当に大好きですし、自分に合っているんだと思います。何時間でも描いていられますからね」

2016年11月に、クラウドファンディングサイトで、VRアート個展の開催に向けて支援を呼びかけたところ、50万円の目標金額を大きく上回る174万4,000円もの資金を調達。翌年、来場者がVRヘッドマウントディスプレイを装着して作品を鑑賞するという、世界的にも珍しい「Daydream Reality」の開催にこぎ着けた。その後も着実に、せきぐちさんは活動領域を広げ続けている。

最初の体験を最良の体験にしたいから

VR専業の体験スポットには、注意事項を説明やヘッドマウントディスプレイの装着を手助けしてくれる案内係が常駐していることがほとんど。こうした施設なら初めてでも安心して楽しめる

今では、国内のみならず海外でパフォーマンスする機会も増え、VRアーティストとして世界に羽ばたくせきぐちさんだが、どんなに忙しくても、以前から継続していることがあるという。それは、VRを経験したことがない友人たちのために、話題のVR体験スポットを厳選して案内することだ。

VRは1人で楽しめるものも多いが、大勢で仮想空間を共有しながら遊べるのもVRの魅力の1つ。写真は4人でレースの勝敗を争うVRゲーム「マリオカートアーケードグランプリVR」

「とにかくVRのおもしろさや楽しさを体験してほしくって、よく友だちを誘って話題のVR施設へ連れていきます。生活の中でヘッドマウントディスプレイをかぶる機会がなさそうな女性をあえて誘うことが多いので、ちゃんと施設の下見をしてから連れて行くようにしているんですよ。VRは没入感がすごいので、体験中に気分が悪くなる”VR酔い”になってしまう人もまれにいます。最初のVR体験が最悪だったらイヤですよね? だから、水なしで飲める酔い止めを必ず持参。万全を期して、最良の体験ができるように準備するんです」

全国各地に作られているVR体験スポットは、スマホを使った手軽なVRとは違って、設備もアトラクションも桁違いにクオリティが高い。リアルな没入感を味わうことのできる、ユニークなコンテンツも続々とリリースされている。しかし、自分に合うかどかは試してみるまでわからない。「だからこそ、VRに詳しい『案内役』が必要だ」と、せきぐちさんは言う。

「VRはゲームだけではなく、医療や建築、モノ作りの現場での活用が始まっています。いずれ、機器の進歩や価格の低価格化によって、もっと生活の中に深く入り込むようになるでしょう。VRと関係がない分野なんてまず考えられないほど、裾野が広いと思うんです。ですから、まずは体験施設のアトラクションを通じて、VRは楽しいテクノロジーなんだと知ってほしいし、知らなきゃ損ですよ、という気持ちでいつも案内しています」

社会に浸透しつつあるVR。しかしヘッドマウントディスプレイをかぶらないと、VRの可能性を体感することはできない。だからこそ一般の方々がその一歩を踏み出すお手伝いがしたいとせきぐちさんは話す。

「これからもVRアーティストとして自分の表現を突き詰めるのと並行して、多くの方にVRの魅力を知っていただく活動を展開したいと思っています。VR界のエバンジェリスト的な役割が果たせたらいいうれしいですね」

後編では、せきぐちさんオススメのVR体験スポットをご紹介する。

 

執筆:武田敏則 編集:ノオト 撮影:栃久保誠

本稿は2018年2月22日、HRナビに掲載された記事です。

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