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スタートアップ18社の熱いピッチ大会 「五反田バレーアクセラレーションプログラム Demo-Day」をレポート

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2021年3月17日、「五反田バレーアクセラレーションプログラム Demo-Day」がセガサミーのワークスペースTunnel Tokyo(トンネル東京)にて開催されました。

同イベントは、受講者18名が自らのビジネスプランをピッチ形式で発表する、2020年9月にキックオフした品川区によるスタートアップ支援企画「五反田バレーアクセラレーションプログラム」の集大成の場。イベント終了後は、起業家と投資家の交流タイムが設けられています。

イベント当日の様子、起業家によるピッチの内容を紹介します!

※当日はZoomによるオンライン配信も実施。新型コロナウイルス感染症に十分配慮して開催されました。

五反田バレーとCrewwの挨拶で幕開け

初めに挨拶したのは、五反田バレー代表理事を務める株式会社Patheeの中村岳人さん。これから登壇する起業家に向けて「五反田バレーアクセラレーションプログラムで培った半年間の成果を存分に出し切ってください」と激励の言葉を贈りました。

続いて登場したのは、プログラムを提供したCreww株式会社の森浩一さん。「五反田バレーアクセラレーションプログラム」の目的やこれまでの活動、さらにはどのような思いで、起業家18名がこの日を迎えたのかを語りました。

起業家のピッチがスタート! 1818色のビジネスプラン

いよいよ18名の起業家によるピッチが始まりました。開発中のプロダクトの詳細や目標など、各社のプレゼン内容をまとめました。

※以下、会社名・サービス名公表可能な17名のプレゼン内容を記載

スライドや動画を使って、各社5分程度のプレゼンを行う(写真は株式会社CARCHの中村太一さん)

1.株式会社みなと相続コンシェル

複雑な相続税の申告を簡単に行えるクラウドサービス「AI相続」を提供。相続税の計算、相続税申告書の作成など、専門的な知識がないと難しい手続きをテクノロジーで処理。「今後IT化が進み、相続人のITリテラシーも向上することで、アナログだった相続手続きをクラウド上で行う未来がやってくると考えています」とのこと。

2.株式会社Plaly

ティーン向けの匿名SNS「Plaly(プレイリー)」を提供。同SNSは、ランダムに選ばれた10人と、24時間だけ、繋がれるのが特徴です。匿名性や時間の制限を設けることで、投稿者が人目を気にせず本音をつぶやきやすくなり、また個人への誹謗中傷によるリスクを回避することができます。従来のSNSの課題を解消し、新たなコミュニケーションの形を提示します。

3Piacere

クラシック音楽に特化したライブ配信アプリ「Piacere(ピアチェーレ)」を開発中。敷居が高いクラシックを身近に感じてもらい、気軽に演奏を楽しんでもらうことで演奏者の活動資金捻出に繋げることが目標です。チケット代のほか、投げ銭システムによって演奏家を応援できる仕組みも取り入れています。

4Abroach

海外進出を目指す企業向けに、現地のビジネス情報を収集し、日本語に翻訳してまとめるプラットフォームを提供。現地の母国語を使って情報収集することで、海外の労働事情や海外市場の競合など、日本語検索だけでは追えない最新の海外ビジネス情報を知ることができ、日本にいながら効率的に事業戦略を考えることが可能になります。

5.株式会社TANGENT

慢性腰痛向けデジタル心理療法プログラム「TANGENT(タンジェント)」を提供。慢性腰痛は身体的不調だけでなく、不安やストレスといった精神的な要因も関係していることが明らかになりつつあります。つまり心の健康が体の健康に影響を及ぼすということ。心理学×マインドフルネス×脳科学をベースに、心から体を治すためのノウハウをアプリで発信していきます。

6Synthesis株式会社

AI×ビッグデータを活用した製品の改善サービスを展開。社外に存在するWEBやSNSの情報、社内に存在するテキストファイルやメールの情報を分析して、市場のトレンドや見込み客を割り出すことができます。その分析結果をもとに、AIが提案する最適なカラーやデザインなどをもとに、自社製品の改善に役立てます。

7VRKET(バーケット)

VRでショッピング体験ができるECサービスを展開。コロナ禍やネットショップの成長、少子高齢化の影響をうけリアル店舗の売上が伸び悩み、自社のECサイトを構築する動きが広がっています。スマホの小さな画面ではなく、360度を見渡せてリアル店舗そのままの雰囲気で買い物ができるVRショッピングが今後伸びていくと思われます。

8.和田直大氏(東京電機大学大学院生)

血流が見えるカメラ「WADAMAP(ワダマップ)」を開発中。生活習慣病が増え、病気の原因が肺から血管に移っているといわれています。特に糖尿病の改善には、血流を知ることが重要です。WADAMAPを手にかざすと画面上で血流を確認することが可能。「医療をあなたに届ける」をミッションに掲げ、病院に行かず医療がくる時代を目指します。

9FastLabel株式会社

AI開発をしている企業向けに教師データ(学習データ)を提供。AI開発の現場では、労力の8割が教師データの作成に費やされています。そのためディープラーニングのアルゴリズムはゼロから作るより、既存のものを選択する時代になってきました。教師データを提供することで、誰もが簡単にAIを活用できる未来を目指します。

10.木村洋介氏

AIで中古スマホの買取査定額を算出するアプリ「スマプラAI」を提供。買取業者は動作やキズ汚れなど、買取時に多くの項目を確認するため時間と工数がかかります。特にオークションやフリマアプリの相場を見て買取価格表を作るのは大変。その手間をアプリで解消し、中古買取市場を活性化させることで、退蔵する不用品ゼロの世界を目指します。

11open&share株式会社

医療団体向けの災害時報告ツールを開発中。地震大国の日本では、災害時に医療団体が病院や薬局の状況、営業再開目処をすみやかに行政へ報告する協定が結ばれています。ところが現場の対応に追われ報告が後回しになりがち。簡単に情報送信できるツールを開発することにより、人命救助に役立ち、災害時の生存率75%を維持できると考えています。

12.株式会社Srush

日本初のセールスエンゲージメントツール「Srush(スラッシュ)」を提供。これまで営業職の成績は、担当者の感覚や経験則に依存していました。誰もが顧客と良好な関係を築いて受注に繋げられるよう、データ分析の結果をもとに、顧客ごとに最適なタイミング、アクションなどを提案。再現性のある営業スタイルを確立するお手伝いをします。

13.株式会社linK&Relations

海外と繋がる子ども向けライブ配信サービス「Mimmyアドベンチャー」を提供。夫婦共働きの増加やコロナ禍の影響で、子どもの外出頻度が減り、新しい体験・経験ができない世の中になっています。オンラインで世界各地のインストラクターと子どもたちを繋ぎ、現地の文化や習慣、乗り物、建物などを自宅で学ぶことができます。海外との交流を通じて、子どもたちの視野を広げるお手伝いをしています。

14.株式会社ルースヒースガーデン

夜道の不安をなくすキーホルダーを開発中。危険を感じたときにキーホルダーを握ると、スマホの着信音が流れて防犯ブザーの役割を果たします。さらにピンを引き抜くと、友人・知人に自分の位置情報を送信することも可能。持ち主が万が一被害にあった場合は、被害届の提出などのアフターフォローも行います。全ての人が安心して外出できる世の中を目指します。

15.株式会社サウンドフィリック

生活リズムに適したBGM自動再生ツールを開発中。在宅ワークの普及で不規則な生活習慣になり、時間感覚や集中力が欠如するケースがあります。起床、始業など1日のスケジュールに合わせて音楽を流すことで、テンポやジャンルの変化によって集中力をコントロールし、規則正しい生活へと導きます。

16Smart Hunt 株式会社

VRゴーグルで楽しむバーチャル旅行サイト「Smart Virtual Trip」を開発中。コロナ禍で外出が難しい昨今、自宅にいながらVR映像で日本各地を旅することができます。ナビゲーターが案内してくれることで、複数名で旅行したかのような感覚に。今後デバイスの進化により、バーチャル旅行の需要はより高まっていくと考えています。

17.株式会社CARCH

飲食店向けスマホ事前注文アプリ「SmartDish」を提供。大手の飲食店が導入しているモバイルオーダーシステムを、小規模の飲食店でも導入できます。来店前にスマホで注文することで、お客さんは店に着いたらすぐに料理を楽しむことができます。決済もモバイルで事前に済ませられるので、対人接触を減らす効果も期待でき、ウィズコロナ時代にも最適です。

18名のプレゼンテーションが終了。最後にCreww株式会社・代表の伊地知天さんが登壇し、総評を述べました。

「キックオフから半年間で資金調達をしたり、モックアップを作ったりと前進する姿を目の当たりにして刺激を受けました。事業をやるにはいろんな方々の支援が必要です。今回プロジェクトに参加した起業家の皆さん、品川区さん、ベンチャーキャピタルの皆さんとの繋がりをこれからも大切にしましょう」(伊地知さん)

伊地知さんの総評ののち、イベントは終了。終了後は起業家と投資家の交流タイムが設けられ、各社が有意義な意見交換を行いました。

五反田バレーアクセラレーションプログラムを終えて

Creww株式会社とともに五反田バレーアクセラレーションプログラムを主催した、品川区 商業・ものづくり課の担当者にお話を伺いました。

――「五反田バレーアクセラレーションプログラム Demo-Day」を終えた率直な感想を教えてください。

18名の起業家はこれまで熱心にプログラムを受講されて、さらにメンタリングにより事業計画やプレゼンテーションなどがブラッシュアップされたこともあり、多くの方々に各社の魅力が伝わったのではないかと感じています。

――プログラム全体を通して、実現できたことや、今後の課題があれば教えてください。

品川区が「起業家やスタートアップを後押しする街」であることを知っていただくきっかけになったと考えています。特に、スタートアップに寄り添った双方向型の研修や親身なメンタリングを心掛けたこともあり、受講生からも感謝の声が届いております。

また、今回参画いただいたパートナー企業様(AWS、WeWork 、セガサミー、CTCなど)には魅力的な特典をご提供いただき、実際多くの受講生が有効に活用したと伺っております。さらに、品川区の支援メニューが充実していることも知っていただき、実際に助成金などを活用されたケースもありました。

課題としては、コロナ禍ということもありオフラインでの交流や一部パートナー企業様の素敵な施設を知っていただく機会を提供できなかったので、次回以降では社会情勢が好転することも期待して多くの交流機会を提供できればと思います。

――“次回以降では”ということは、第二回目の実施も検討されているのですね。

今年度培った繋がりやノウハウを活かしつつ、研修プログラムのさらなる充実や特典の拡充等により、受講生に寄り添ったプログラムを提供できるように準備ができればと考えております。

次回の開催情報は、五反田アクセラレーションプログラムの公式サイトをご覧ください。

(取材・文:水上アユミ/ノオト 編集:伊藤駿/ノオト)

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