五反田バレー企業の社員がおすすめコンテンツを紹介する連載「五反田バレーのクリエイターはこれを見てる」。第2回はマーケティング支援企業・balconia株式会社のシステムエンジニア坪池達哉さん。システム開発の基礎を学べる本や、習慣づけに役立つ本などイチオシの書籍について語ってくれました!
プロフィール
balconia株式会社 坪池達哉さん
部署:System Solution Unit2
肩書:システムエンジニア
担当業務:Webシステムの受託開発
システムエンジニア坪池さんのおすすめコンテンツ
『プロになるためのWeb技術入門』――なぜ,あなたはWebシステムを開発できないのか(小森裕介著/技術評論社)
Webシステム開発の基礎技術を1冊にまとめた入門書です。インターネットの歴史や仕組みの解説を通して、Webシステム開発の基礎技術を体系的に理解できます。効率よく「技術」を学ぶ方法について、本書ではこのように紹介されています。
“ポイントを押さえて技術を理解するには、その歴史や背景を押さえることが効率的なのではないでしょうか。技術はすべて私たち人間が生み出したものですから、それが必要になった背景があります。ある背景から問題意識が生まれ、それを解決するために新たな技術が生み出される。さらにその技術を利用する上で別の問題が生じ、それを解決するために新たな技術が生まれる……その繰り返しの上に成り立っているのが、いま私たちが利用している技術だと言えます。”
小森裕介(2010)『プロになるためのWeb技術入門』――なぜ,あなたはWebシステムを開発できないのか p5
この本は、balconiaに中途入社した直後、Web技術の勉強をしている時期に購入しました。当時の私はWebシステム開発の経験が少なく、知識も断片的だったため、少しでも早く技術を身につけられるようにと躍起になっていました。幸い、この本の恩恵も含め、Web技術の根本的な理解を深めることができ、以降の仕事も問題なくこなせるようになりました。
もともと理系なこともあり、物事を理解するときは「背景にあるいろいろなつながりを整理する」やり方が好きでした。この本の手法である「歴史と成り立ちから、Webシステムの基礎技術を理解する」という点は、私と相性がよかったです。
特に、読む内に頭の中で断片的な知識がつながっていくのはとても面白く、結果Web技術への好奇心と興味を多く持てるようになりました。Webシステム開発の初学者の方にオススメしたい本です。
『良い習慣、悪い習慣: 世界No.1の心理学ブロガーが明かすあなたの行動を変えるための方法』(ジェレミー・ディーン著/三木俊哉訳/大野正勝解説/東洋経済新報社)
人気心理学ブログ「PsyBlog」を主宰する心理学者が、心理学の視点から「習慣」を研究した本です。心理学的に見た「習慣」の原理と、「良い習慣」を身につけるためのさまざまな提案を知ることができます。
リモートワーク下の、自宅での過ごし方に悩んでいる時期に本書を手に取りました。自宅では仕事と生活のスペースをうまく区切ることができず、集中を欠いたり、予定にない行動をしてしまったりして悩んでいました。そんなときにきっかけを与えてくれたのが、本の中に書かれたこのフレーズです。
“必要なのは、状況と行動の強い結びつきである。このつながりが自動的になれば、新しい習慣のできあがりだ。この実行意図――「~だったら~する(IF・THEN)」のつながり――は、いわば習慣の初期段階、今後の習慣の設計図である。”
ジェレミー・ディーン(2014)良い習慣、悪い習慣: 世界No.1の心理学ブロガーが明かすあなたの行動を変えるための方法
この「行動は習慣に支配されやすく、習慣は環境と状況に影響されやすい」といった話が、自分の行動を見直す上でのヒントになりました。(私は噛み砕いて、「状況に対しての良い行動を、何度も体に覚えさせることが大事」と解釈しています) この本を読んでからは日々の習慣に興味がわき、1日の行動とそれぞれにかけている時間を記録してみたり、注意と関心をより向けたりするようになりました。
「良い習慣」が身につくように、仕事道具と生活用品をなるべく隔離してみたり、「こういう状況になったら、こう動く」というルールを決めてみたり、そう動くのに必要な道具を近い場所に配置してみたり、試行錯誤しています。また、仕事の考え方にも多少影響しています。なるべく「良い進め方」が習慣になるように、作業ルール・作業環境の整備を積極的に行うようになりました。
『岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。』(ほぼ日刊イトイ新聞著/ほぼ日)
任天堂の元社長、岩田聡氏の言葉をまとめた本です。岩田氏の存在から、「エンジニアの理想像」の1つをイメージできます。彼の逝去が報じられてから少し後、ご生前に「天才プログラマー」としても名を知られていたことを知り、興味が湧き購入しました。
最初に読んだときは、並外れた人徳と見識の高さを示す大量の言葉に圧倒されました。理解が追いつかないほど優れた人物像で、「創作上の人物ではないか?」と思ったほどです。そんな岩田氏の人柄を表しているのが、本書の90-91ページに書かれているこの文章です。
“わたしは困っている人がいたり、そこに問題を抱えている人がいると、その問題を解決したくなるんです。正確にいうと、目の前になにかの問題があったら、「自分だったらどうするだろうな」というのを真剣に考えずにはいられない。助けるというよりは、当事者として真剣に考えてしまう。なぜ、そうなるかというと、その人のことが好きだからでもかわいそうだからでもなくて、その人がうれしそうにするのが、おもしろいからですね。”
ほぼ日刊イトイ新聞(2019)岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。 p90-91
私が「将来どんなエンジニアになりたいか」を考えるにあたって一番悩んでいる点は、「得た専門知識や経験を、自分はどう活かしていきたいのか」という点です。その点で岩田氏は、「問題を解決してほかの人をよろこばせ、ハッピーにしていく」という信念で多くの人に慕われている。理想の人物像の1つです。エンジニアとしてどう生きたいかを迷ったときに、1つの道標としてこの本に頼りたいと思っています。
取材・文・編集/ノオト