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企業と中学生が「仕事」についての対話 「ドリームジョブツアー in 五反田バレー」をレポート

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2023年1月21日、品川区立日野学園にて「ドリームジョブツアー in 五反田バレー〜中学生からの合同しごと説明会〜」が開催されました。

一般社団法人五反田バレー参加企業をはじめとする五反田周辺地域の企業が、日野学園の8年生(中学2年生)約130名を対象に、仕事についての対話を行う本イベント。五反田の企業で働く会社員と中学生、同じ地域で生活していても普段は顔を合わせることがない両者間でたくさんの交流が行われた、イベント当日の様子をレポートします。

中学生と仕事を語る「ドリームジョブツアー」とは?

品川区立日野学園の生徒に向けて、進路指導を行う授業の一環として開催された「ドリームジョブツアー in 五反田バレー」。

五反田エリアにオフィスを構える企業の社員を「ドリームツアーガイド」とし、中学2年生にあたる日野学園8年生の生徒と交流を図ります。仕事についての対話や質疑応答を通して、生徒たちが働くことの意義を学び、将来について考えるきっかけになることを目的としています。

今回のイベントでは、IT事業を中心に、化粧品事業、教育事業、機械製造業など、事業内容が多岐にわたる24社が集まりました。参加企業は、アクトインディ、アットマーク・ラーニング、アディッシュ、アプリケーションプロダクト、AMBL、エール、長田電機工業、キャンサースキャン、クラスター、クラダシ、コグラフ、学校法人清泉女子大学、ソシオネット、空色、ソラジマ、ニット、ノオト、社会福祉法人新生寿会 東五反田倶楽部、freee、ポーラ、モバイルファクトリー、ユニラボ、LITALICOワークス五反田(五十音順)。

生徒は話を聞く企業について調べ、事前に質問を用意。1つの企業につき、生徒5名〜7名で20分間の対話を行います。20分間の対話を、企業を変えて合計4回行うのが、当日のプログラムです。

最初に、日野学園校長の堀井先生より「皆さんは、社会生活の中で自己実現するために日々学んでいます。本日集まっていただいている企業の方々は、まさしく今それを実践していらっしゃいます。仕事に対する思いを聞いて、社会に出ていくのはこんなに楽しいことなのかと思ってもらえたら嬉しいです」と挨拶がありました。

そして、イベントの運営を行う未来協育推進機構の代表・立見さんからはこんなメッセージが。

「将来こんな仕事につきたいという方もいれば、自分はどんな仕事をしたいんだろうという方もいるかもしれません。でも、どちらでも大丈夫です。せっかくの機会なので、仕事に対して自分なりの問いを持ちながら、企業の方々のお話を聞いてみてください」

自己紹介から始まり、個性が出るアイスブレイクも

企業との対話は、生徒の自己紹介からスタートします。最初のクールは、緊張した面持ちの生徒たちでしたが、話しやすい雰囲気を作れるよう、それぞれの個性が出るアイスブレイクを用意している企業も見受けられました。

中小企業向けにITサポートサービスを提供しているソシオネットは、ポストイットに「自分の大切なもの」を書くというアイスブレイクを実施しました。ポストイットが貼られたボードには、「ハリーポッター」「一人の時間」「推し」など、生徒たちの「大切なもの」がさまざま集まります。

「好きなことと仕事が上手くリンクしていくといいなという思いを込めて、このアイスブレイクを用意しました。大切なものを書くことで、将来を考えてもらう機会に繋がったら」(ソシオネット担当者)。

組織開発・人材育成コンサルティング事業を展開するエールでは、社員と生徒が一人一組になって、隣同士に座った状態で対話がスタート。「興味のある仕事は?」という話題から「なぜその仕事に興味があるの?」と、生徒一人ひとりに向き合います。リラクゼーション分野に興味があるという生徒からは、親戚のぎっくり腰を治してあげたという驚きのエピソードが出ていました。

また、IT事業を展開するコグラフでは、データアナリストの社員が参加。データアナリストという仕事について、「一言で言うと、目に見えていない情報を見える状態にして真実を見出すお仕事です。企業のデータを集め、分析し、そこから売上を伸ばせるきっかけを考えられるように動いています」と丁寧に説明をしていました。

化粧品の製造販売を行うポーラでは、仕事を選ぶ際に好きなことを基準にする以外の方法をアドバイス。

「好きなことを仕事にするといっても、実際に好きなこと、得意なことが分からないときもありますよね? そんなときは苦手なことを考えてみるのも一つの方法です。好きなことを突き詰めようという価値観も大事ですが、それ以外のアプローチもあると思って仕事を探してみるのも面白いですよ」(ポーラ担当者)。

素朴な疑問や「社会の主役になるには?」という問いまで

参加企業は中学生にも伝わるように自社紹介をしたのち、生徒からの質問に答えていきます。ここでは、企業と生徒の対話を一部ご紹介します。

freee

クラウド会計ソフトの提供をはじめ、起業家向けの雑誌の出版も行っているfreee。

生徒からの「仕事のやりがいは?」という質問には、「感謝がどんどん溜まっていくところ」とのこと。雑誌を作っていると取材で起業した方に会うことが増え、雑誌を読む人だけでなく、雑誌で取材をした人からもうれしい言葉をもらうことが、仕事の大きなモチベーションになっているそうです。

さらに「社会の主役になるにはどうしたらいいですか?」という一見回答が難しい質問にも、「いきなり社会の主役になるのは難しいかもしれませんが、まずは自分が自分の主役になることを考えてみるのはいかがでしょうか」との回答が。

「自分でやりたいと思ったことに挑戦してみる。その先で誰かが喜んでいたら嬉しいですよね。そうすることで、いつのまにか社会の主役になっているかもしれませんね」(freee担当者)

アディッシュ

カスタマーリレーション事業を展開するアディッシュでは、自己紹介と合わせて「今日の気分は何色?」という質問から対話がスタート。「いろんな方の話を聞けるので、楽しみな気持ちから“黄色”です」と、生徒からは新しいことに触れられる期待が感じられました。

子どもたちのソーシャルメディアの利用を見守るサービスなども運営している同社。

自分たちと身近なサービスがあると知り、生徒からは「今の中高生がインターネットの使い方で気をつけたほうがいいことは何ですか?」という質問があり、それに対して「実際にネットトラブルに合う人は『自分は大丈夫』と油断した気持ちを持っているケースがほとんどです。日頃から自分も巻き込まれる可能性があると意識することが大事です」と答えていました。

モバイルファクトリー

エンタメコンテンツを手がけるモバイルファクトリーからは、「人生の中に社長という選択肢も入れてほしい」というコンセプトのもと、同社社長の宮嶌さんが参加。

「社長は会社でどんな一日を過ごすのですか?」という生徒からの質問を受け、「社長は決断するのが主な仕事なので、会議に出ていることが多いです。どんな未来が訪れるか分からない中でも、あらゆる情報やデータを集めてどういう方向に向かっていくのかを決めなくてはいけません」と答えていました。

ノオト

編集プロダクションであるノオトには、生徒から「休日はどのように過ごしていますか?」という質問が。

「家でじっとしているよりは、街に出て面白いことを探しに行きます。編集者・ライターは常に何かを探しているので、もしかしたらオンとオフがあまりないかもしれません。旅行先でも少し仕事のスイッチが入ったまま、何か面白いことがないかメモしていますね」(ノオト担当者)

また、「入社したきっかけ」を問われ、「もともと文章を読んだり書いたりするのが好きなので、この仕事に就こうと思いました。会社によってもカラーがさまざまあります。今の会社は、自分と雰囲気が合うと思ったので入社を決めました」と答えていました。

働くを考えるきっかけに「仕事は楽しくてやりがいがある」

対話イベントを終えて生徒からは「今の時代はAIなどの技術が発展しているので、これまでは勉強ができる能力が求められていましたが、最近はAIが代行してくれる仕事も増えてきました。これからの時代はAIにできないことが、社会的に求められていると教わりました」という感想がありました。

他には「多くの企業が、これからの地球の問題を視野に入れて事業していることがわかりました。自分も地球を救えるようなビジネスをしていきたいです」といったコメントや、「自分が普段利用しているサイトを作っている方とお話ししました。世界中の人々が利用するサイトを作った方が、同じ地域にいることが誇らしくなりました」と、笑顔で語る生徒もいました。

生徒からの感想を受け、ノオト代表の宮脇さんからは以下のような言葉が。

「中学生の皆さんに対して仕事についてお話しする時間になると伺っていましたが、実際は皆さんとお話しできて勉強になったのは私たちのほうです。今日のことが仕事について考えるきっかけになっていたと、もしかしたら何年後かに実感することがあるかもしれません。そうなっていたら、とても嬉しいなと思っております」(宮脇さん)

最後に、生徒代表から感謝の言葉が述べられ、イベントは終了しました。

「もっと仕事ってつまらないものだと思っていましたが、本当は楽しくて社会に影響を及ぼすやりがいのあるものだとわかり、将来に対する期待が膨らみました。この経験を活かして、これからの学校生活をクリエイティブな発想で過ごしていきたいです」(生徒代表)

文=矢内あや/編集=ノオト

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