コロナ禍をきっかけにテレワークを導入する企業が増え、場所に縛られない働き方が浸透しつつあります。一方で、テレワークをしている人からは「在宅で仕事がはかどらない」「集中力がすぐに切れてしまう」という声もちらほら。働き慣れたオフィスではなく、違う場所で働くことに戸惑う人もいるようです。
どんな場所でも仕事に集中できる、良い方法はないのでしょうか?
ネット上にあるさまざまな「集中力を切らさない方法」の中から3つを選び、五反田計画の編集部員が「集中できるかどうか」を検証しました。その様子を座談会形式でご紹介します。
全員が3つの「集中力を切らさない方法」を各自実施し、その感想を話し合います。
検証した「集中力を切らさない方法」はこちら!
1.ポモドーロ・テクニックを使う(25分働いて、5分休憩を繰り返す)
2.音楽を聴きながら働く
3.仕事中に少量ずつ食事をする
参加メンバー
すぎやま
作業を始めると集中できるが、作業に取りかかるまでの時間が長いのが悩み。リモートワークの機会が増えたことで、オフィスのありがたみを感じている。
いとう
19時以降に調子が上がってくる、典型的な夜型。アプリで雨の音を聞きながら作業することがあるが、消耗が激しいため、できればあまりやりたくないと思っている。
みずかみ
座談会の進行役。一度集中力が切れたら、なかなか復活できないタイプ。いつも音楽を極小ボリュームで聴きながら仕事をしている。
1.ポモドーロ・テクニックを使う:集中しやすいが、長時間作業には不向き
25分働いて、5分休憩を繰り返す「ポモドーロ・テクニック」。作業時間を細かく区切ることで集中力が持続すると言われていますが、やってみてどうでしたか?
- みずかみ
なかなか集中できたと思う。長時間働きっぱなしだとそのうち集中力が切れちゃうけど、25分ごとに休憩が入るから、適度にリフレッシュできたのがよかったのかな、と。
- すぎやま
僕も集中できました。在宅ワークは時間管理が難しかったんですが、この方法だと25分→5分と時間が強制的に区切られるんですよね。
気分が乗らないときも、「25分働けば休める」と前向きな気持ちにしてくれるのもいい。
- いとう
2人とも集中できたんだ……。実は私はあまり効果がなかったんですよ。
「集中してきたぞ」というタイミングでも、25分経ったら中断されちゃうのにモヤモヤしちゃいました。このまま続けたいのに休まないといけないのか、と。
- みずかみ
むしろ途中で中断されるのが、ポモドーロ・テクニックの良いところなんですよ。
中途半端に区切られることで、その後の「次はあれをしよう」とやるべきことが考えられるので。実際、休憩後もすぐに作業に取りかかれる気がした。
- すぎやま
休憩後にスムーズに業務に取りかかれる点は良かったです。モヤモヤせず素直に休めばよかったのかも……。
- みずかみ
他には、「自分が25分間にやった仕事量がわかる」というメリットもありました。長文のメールを打っていたら、25分を丸々使っちゃったこともあって。連絡するだけでこんなに時間かかってたんだ、っていう。
- いとう
あ、わかります。私も25分経ったのに原稿の導入部分しか書けてなくて焦りました(笑)。
2人は時間をどのように計っていましたか? 私はスマホアプリの「Focus To-Do」を使いました。時間を計るだけでなく、1つの作業にどのくらい時間を費やしたかグラフにしてくれて便利。
- みずかみ
僕も「Focus To-Do」使いました。作業時間を可視化してくれるし、操作性がシンプルでいいですよね。
他のアプリもいくつか試してみましたが、一番気に入ったのは「BFT - Bear Focus Timer」です。
- すぎやま
かわいい! iPhoneの画面上のでっぱりを耳にしているのも良いですね。
- いとう
見た目はかわいいけど、スマホを伏せていないとタイマーが動かないストイックな仕様なんだよね……。だから、強制的に25分間はスマホをいじれなくなる。それが結果的に集中力維持につながった気もします。
- すぎやま
僕は毎回Siriに「25分アラームかけて」と呼びかけて時間を計っていました。1人で黙々と仕事すると寂しいし、その結果気が散っちゃうけど、Siriに話かけることでメリハリをつけて寂しさを紛らわせつつ。
5分休憩の間は「デスクに座らない、スマホやPCを見ない」と決めて、ストレッチをしたり、トイレに行ったりして過ごしてました。
- いとう
座りっぱなしを回避できるのも魅力ですね。ポモドーロ・テクニック専用アプリはたくさんあるので、自分に合うものを選ぶとより集中力を維持できそう。
- みずかみ
2.音楽を聴きながら働く:集中できるが、合う曲は人それぞれ
続いて、「音楽を聴きながら働く」はどうでしたか?
- みずかみ
これも効果ありましたよ。クラシック音楽が良いらしいのでモーツァルトを流していましたが、途中から音楽が全く気にならなくなるほど集中できました。
Spotifyの「This Is Mozart」というプレイリストをかけて……こんなのあるんだ、と思いながら(笑)
- いとう
モーツァルトは集中力がアップするとよく言われていますよね!
- みずかみ
そうそう。他にも集中できる音楽ジャンルがあるのかもしれないですね。「夜遅くにテクノ音楽を聴くと集中できる」っていう人もいるじゃないですか。アンダーワールドとか。
- いとう
その説は初耳です(笑)。すぎやまさんはどうでしょう?
- みずかみ
僕はAIが音楽を生成して流し続ける「Mubert」というアプリを使いました。これも、なかなか仕事にはぴったりだった。
「Study」「Work」「Creative」の3テーマから好きなものを選ぶと、テーマに合わせた音楽が延々と流れる、というアプリで。曲のつなぎ目がないのが良かったのかもしれない。
- すぎやま
「あ、曲が終わった」と意識することがないんですね。どんな曲調の音楽が流れるんですか?
- みずかみ
アップテンポな電子音楽ですね。テンションを上げるような曲調で、仕事に取り掛かるときもスムーズになるような気がしました。
- すぎやま
なるほど! 私は日頃から音楽を聴いて仕事をしているんですが、実は4年くらい前からずっと聴き続けているプレイリストがあります。
Apple Musicの「仕事や勉強に集中したいときに最適なミュージック」です。
- みずかみ
アーティストはさまざまですが、ジャンルはテクノやエレクトロが多いかもしれません。落ち着く曲が多くて、頭を冷静にしてくれる感じ。原稿の執筆や編集のような、ぐっと集中する作業のときに聴いています。
- みずかみ
みんな集中できる音楽はバラバラなんですね。ちなみに僕は歌詞がある曲は集中できないけど、2人はどうですか?
- すぎやま
僕は意外と平気かもしれませんね。知らない曲だと言葉がじゃまになったりするけど、聴きなれた曲だと、言葉も音と一緒に聞き流せる。
- いとう
私は歌詞が気になっちゃいますね。なるべくボーカルがない曲にするか、あっても外国語であまり主張しない曲を選びます。
- みずかみ
あと部屋に音楽を流すか、イヤフォンで聴くかでも印象は違う気がした。イヤフォンだと歌詞が頭に入ってきやすいけど、スピーカーで部屋全体に音楽を流せば気にならない。
- すぎやま
たしかに、聴き方は重要かもしれないです。前に、試しにスピーカーで部屋にクラシックを流してみたんですが、こじんまりした部屋と壮大なクラシックの音色が不釣り合いで……。ものすごく落ち着かなかったです。
- みずかみ
曲と聴き方の組み合わせはみんな違うけど、3人とも「音楽を聴きながら働く」は集中できたってことですね。
- いとう
★編集部が使ったアプリ
Mubert(iOS/Android)
★編集部が使ったプレイリスト
This Is Mozart(Spotify)
仕事や勉強に集中したいときに最適なミュージック(Apple Music)
3.仕事中に少量ずつ食事をする:慣れが必要で難易度高め
最後は「仕事中に少量ずつ食事をする」です。これは満腹になると集中力が切れやすいので、お昼ご飯をがっつり食べるのではなく、仕事中にちょっとずつ軽食をとる方法のこと。
軽食はナッツ、ドライフルーツ、カロリーメイトなど事前に決めましたよね。さて、効果はどうでしょうか?
- みずかみ
これは……僕には合わなかったです。僕はどちらかというとお腹が空いているときに仕事が捗る体質なので、常にお腹になにか入っている状態なのがしっくりこなかった。
それに、口さみしい時間帯になるとご飯を食べたくなっちゃうんですよね。
- いとう
そうそう。結局お腹が空いて、ナッツとドライフルーツを大量に食べちゃうんだよね(笑)。
これは僕も合わなかったかな。いつも3食しっかり食べていたので、お昼ご飯を抜いて仕事中にちょっとずつ食べるのは、正直慣れなかった……。
- すぎやま
結局お腹いっぱいになっちゃうんですね……。実は「ちょっとずつ食べるスタイル」、私は日頃からやっているんですよ。結構集中できる方法だな、と思っていて。
- みずかみ
ナッツやドライフルーツをボトルに入れて、ざらざら口に流し込むようにして食べる(笑)。簡単に食べられるし、手が汚れないので便利です。
- みずかみ
以前、登山ガイドさんに「登山中の行動食」について取材をして、この技を教えてもらったんです。
登山は常に危険と隣り合わせなので集中力を切らさないように、こまめにエネルギー補給をするそうです。その食事方法は仕事中でも使えるのでは、と。
- みずかみ
でも食べ過ぎちゃいません? 今回の検証で久しぶりにドライフルーツとナッツを食べたけど、おいしすぎて。満腹にならない“適量”ってどう計っているんですか。
- すぎやま
最初はお菓子をめちゃくちゃ食べていました。特に在宅勤務になってからは、人目を気にせず食べまくれるので。
ただお腹いっぱいになると意味がないので、小分けのお菓子やナッツを買って、食べる量を調整していった……という感じです。それを続けるうちに、適量がわかるようになったのかも。
- いとう
ナッツやドライフルーツ以外に、お菓子も食べていたんですね。
- いとう
ナッツ、ドライフルーツ、柿ピー、ビスケットが多いですね。あとはインスタントの甘酒やお味噌汁も小腹を満たすのにちょうど良いです。
とか、こんなこと言っていますが、最近はお昼ご飯をちゃんと食べたほうがいいと思い始めました。
- みずかみ
このやり方は集中できるけど、たまに消耗しすぎて疲れちゃうんですよ。活動量に適したエネルギーを摂取するには、ある程度しっかりご飯を食べないといけないと最近気がつきました。
- みずかみ
なるほど……。毎日続けるというよりは、「今日は集中するぞ!」というときに実践すると良さそうですね。適量を見つけるまでの慣れが必要なので、ちょっと難易度が高い技かも。
- すぎやま
「集中力を切らさない方法」のポイントをおさらい
五反田計画の編集部3人で検証した結果は、このようになりました。
1.ポモドーロ・テクニックを使う
・疲れる前に休憩できるので、集中力が完全に切れない
・しかし長時間のまとまった作業に取り組みたいときは不向き
・休憩中に体を動かす習慣が身に付く
2.音楽を聴きながら働く
・集中できる音楽は人それぞれ違う
・曲のつなぎ目がない音楽は気が散らない
・歌詞なしの曲、または歌詞ありの聴き慣れた曲がおすすめ
3.仕事中に少量ずつ食事をする
・簡単に食べられて、手が汚れない軽食がおすすめ
・適量を見つけるまでは慣れが必要
・毎日ではなく、ここぞという時に実践するのが良い
仕事に集中できない……とお悩みの方は、上記のポイントを押さえてぜひ「集中力を切らさない方法」を試してみてください!
(文:水上アユミ/ノオト 編集:ノオト)