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お笑い芸人・コスプレイヤー・プロレスファンが入り乱れた「五反田大運動会」 「IoT五種競走」などのオリジナル競技も

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2019年11月9日、品川区立日野学園のグラウンドで「五反田大運動会」が行われた。

五反田で働く会社員や地域住民の交流を目的として開催された本イベント。参加者は、赤・白・青・黄組に分かれ、綱引きや玉入れのほか、「IoT五種競走」「欽ちゃん走リレー(きんちゃんばしりれー)」といったオリジナル競技で得点を競う。

目玉ゲストに予定していた元プロレスラーのスタン・ハンセンさんが大人の事情で来日が見送られるトラブルに見舞われたものの、代打にプロレスラーの武藤敬司さんが登場。五反田に事務所を構える芸能事務所「浅井企画」の芸人も参加し、一般参加者とともに汗を流した。

晴天にも恵まれた運動会当日。五反田大運動会は、芸人たちと一般参加者たちが協力しながら競技に打ち込み、スローガンとして掲げる「笑い×運動×健康」にふさわしいイベントとなった。五反田の住民だけでなく、浅井企画の芸人や日野学園の教員、コスプレイヤー、プロレスファン、シナガワンが入り乱れてスポーツに打ち込んだ6時間を、ダイジェストでお届けしよう。

お願いだから、ケガには気をつけて

司会進行を務めるのはお笑いコンビ「スパローズ」の2人。そして、赤組には「上木恋愛研究所」、白組には「さむらい侍」、青組には「スカーレット」、黃組には「アモーン」と、浅井企画の芸人がそれぞれのチームにリーダーとして参加。

開会式で主催者側から繰り返し伝えられたことが、「ケガに気をつけてほしい」ということ。「競技中は決して無理をしないでください。普段から運動していないのは体を見ればわかるので」という、親切なのか悪口なのかわからない注意がなされていた。

▲スパローズいわく、「もしケガをしてしまったら、誰にも見つからないようにこっそり帰ってほしい」とのこと

競技スタート前には、入念な準備体操が行われた。

グラウンドから「愛妻家」を借りてくる、『借りれる物競争』

最初の種目として行われた「借りれる物競争」は、参加者全員がグラウンド中を走り回り、運動会の観客や父兄、マスコットをも駆り出される競技。と同時に、五反田運動会の空気を決定づける競技となった。

ルールは、モノだけでなく、「愛妻家」「五反田の社長」など、キャラクターや人の属性をもとに10種類のお題が与えられるというもの。お題を与えられたチームリーダーは、それらをメンバーに伝え、日野学園のグラウンドのどこかから、中央に持って(連れて)くれば、得点になるという内容だ。

この競技で、まずポイントを獲得したのが白組。選んだお題は、「小学生」「愛妻家」「五反田で働くサラリーマン」「武藤敬司ファン」だった。

▲お題の一つとして登場した「シナガワン」は、品川ケーブルテレビのマスコットキャラクター。子どもたちからも大人気

連れられた「愛妻家」は競技に勝つための“ファッション愛妻家”ではないのか、司会のスパローズ・大和が嫌疑をかけるも、当人はその場にいた妻に「いつもありがとう、愛してるよ!」と声をかけ、本物であることを証明。

各チームの一般参加者はもちろんのこと、チームリーダーの芸人たちまでもが全く同じ立場で入り乱れる。芸人たちと一般参加者の距離感がほぼゼロの、五反田運動会を象徴するような競技だった。

▲写真は、お題の1つとして黄色チームから“借りられた”日野学園の校長先生

手先の器用さで大きく差が出る「IoT五種競走」

続く「IoT五種競走」は、ものづくり企業やITベンチャーが増えている五反田バレーにちなんだ、五反田大運動会版「障害物競走」。ランナーはグラウンドのトラックを一周しながら、「タイピング」「ねじ回し」「包装」「宣伝」「納品」の一通りの動作を行うことで、ようやくゴールできる。

  • 各者いっせいに飛び出し……

  • まずはタイピング。パソコン、もしくはスマホを手にして製品の企画を行い……

  • モノを実際に制作(ねじ回し)……

  • 作ったものの包装を行い……

  • 素敵な自撮りとSNS投稿でモノの宣伝をして……

  • ようやくゴール!

トラックを走りながら、企画から納品までのプロセスを体験できる、画期的な障害物競走である。

最大の難所は、ランナーが自ら箱を組み立てなければいけない「梱包」のプロセス。それまでトップを走っていた選手がここで足止めされ、順位が入れ替わってしまうという大逆転が度々起きた。この競技で勝利するためには、通常の運動会では求められない「指先の器用さ」が必要になるのである。

▲難所となった、組立前の箱

ここで強みを見せたのが、運動会に途中参加したコスプレイヤーチーム「G-Anison」の面々。スパローズ森田いわく、「コスプレ衣装を自分で作っているから、手先も器用なのでは?」とのこと。

「浅井企画ネタ合戦」ではチームメイトが審査員に

お昼休みの前に行われたのが、各チームリーダーによる応援ネタ合戦。芸人4組が、朝礼台に上がってネタを披露し、観客のリアクションが良かったチームに得点が追加される。

これまでチームメイトだった参加者が突如として審査員に変わり、緊張の色が隠せない芸人たち。先輩芸人のスパローズから「もしリーダーが面白くなかったら、チーム全体の士気が下がるから」とプレッシャーをかけられながら、全組がネタを披露した。

▲伝家の宝刀「フィ〜!」でごり押す上木恋愛研究所

▲朝礼台で正統派漫才を披露したさむらい侍

▲漫才からのリズムネタで盛り上げたスカーレット

「笑う覚悟はできてるか!」と大声で参加者に訴えたアモーン

結果は白組・さむらい侍が参加者の支持を集めて優勝。以降は2位から、黄組・アモーン、赤組・上木恋愛研究所、白組・スカーレット。3位の上木恋愛研究所と4位のスカーレットは僅差だったが、「ウケている人の数は同じくらいでも、リアクションが大きかった」との理由で、順位が決まった。

緊急参戦の武藤敬司、マニアックなファンを集める

約1時間の昼休憩の後、いよいよプロレス界のレジェンド・武藤敬司さんが登場。イベント開催数日前のアナウンスだったにもかかわらず、会場にはこのトークイベントが目的のプロレスファンが多数来場した。

客席を巻き込んだ質問コーナーでは、「ムーンサルトプレスが技になったきっかけは?」「グレート・ムタの毒霧の調合は?」など、想定外のマニアックな質問の数々が武藤さんへ投げかけられた。

▲ちなみに、「(ムーンサルトプレスは)アメリカでやったからウケたから」「(毒霧は)ウミヘビとか、フグ毒とかじゃない?」とのこと

スパローズを交えたメインのトークコーナーでは、五反田大運動会のテーマでもある「健康」についてのトーク……と思いきや、なぜか内容はお金儲けの話へスライドしていくことに。

「昔のトレーニングはキツかったから、健康を考えるどころじゃなかった」→「今だったらもっと上手にコーチングできる」→「だから、プロレスラー養成所を作った」→「みんなも、プロレス総合学院に入ってほしい」→「入学してくれれば、自分にお金が入る」のように、トークの節々に金の匂いをちらつかせた。

▲武藤敬司さんの人気っぷりを遠巻きに眺めるシナガワン

トーク最後に今後の目標を尋ねられた武藤さんは、「今年で57歳だが、生涯現役でプロレスラーをやっていきたいと思っている。リングに僕の姿を見に来てください」と締めくくった。

事前レクチャーが必要な「欽ちゃん走リレー」

運動会終盤に行われたのは、オリジナル競技の「欽ちゃん走リレー」。「欽ちゃん」こと萩本欽一さんは、浅井企画のチームリーダーたちにとっては同事務所(※)の大先輩にあたる。

※ 正確には、浅井企画傘下の個人事務所「萩本企画」所属。

しかし、参加者の小学生たちからしてみれば、そもそも「欽ちゃん走り」がわからないという問題が発生。そのため、競技に入る前に「浅井企画の芸人の中で、一番欽ちゃん走りが上手な男」ことスカーレット・マジで桂による、欽ちゃん走りのレクチャーが行われた。

欽ちゃん走りは、上半身を左右のどちらかに向け、真下に降ろした腕は関節を曲げずにそのまま左右に振るイメージ。跳ねるように走ると、きれいに見えるのだそう。

競技は、チーム全員が一列に並び、一人ひとりが向かいの三角コーンとスタート地点との間を、欽ちゃん走りで往復。チーム全員が走り終えた順位のほか、「最もきれいな欽ちゃん走りをした人」がいるチームに追加で得点が入るルールだ。

芸人たち以上に欽ちゃん走りが上手だったのが、こちらの男性。スピードだけでなく、あまりのフォームの美しさに会場からは歓声が上がった。

けが人はゼロで、目標は来年へ

こうして、全6種の競技が終了。最終競技の「本気走りリレー」に勝利し、50点を獲得した青組が、第一回「五反田大運動会」の優勝を飾る結果に。最終競技までは4位だったにもかかわらず、大逆転劇を演じ、会場を盛り上げた。

▲バラエティ番組等で良く目にする、いわゆる「最後の問題は一兆点」方式での優勝

参加者全員で集合写真を撮影した後は、芸人たちと一般参加者との交流タイムへ。チームリーダーと一緒に写真を撮ったり、芸人たちにサインをもらって回ったりする一般参加者の姿が見受けられた。

イベント企画者のコグラフ森さんによる「新たなコミュニティーを醸成し、五反田を盛り上げていきたい」という想いのもと開催された五反田大運動会。蓋を開けてみれば、地域のタレントやキャラクターと、地域の住民、会社員がともに汗を流し、企画側と参加者の距離が非常に近いイベントとなった。

誰一人としてけが人を出さず、無事に初年度を終えた本イベント。来年以降も、より多くの住民を巻き込むことを期待したい。

記事内で紹介しきれなかった五反田大運動会最中の出来事は、スライダーから。

(取材・執筆:伊藤 駿/ノオト 編集:杉山大祐/ノオト)

  • イベント主催者である、コグラフ・森さん(中央)

  • 競技スタート前のチーム内ミーティングは、自己紹介も兼ねて和やかな雰囲気で行われた

  • 2度目の「借りれる物競争」でも、再び借りられた校長先生

  • 大縄飛びでは、全チームが想定外の大苦戦

  • 青チームは体育に慣れている先生2名を縄回し担当に配置するも、記録は2回であえなく撃沈

  • 全チームが十字になった縄を引き合うという、オリジナルの綱引きも行われた

  • 競技中、メンバー全員からあずかっているスマホをまとめて首にかける、上木恋愛研究所・ロマンス河野

  • 地下体育館では、eスポーツ体験のブースが。ぷよぷよのプロゲーマー、Live(りべ)さんが登場

  • 優勝した青組のリーダー・スカーレットには、コグラフ森さんから表彰状を贈呈

  • 赤組の女の子からなぜかなつかれてしまった上木恋愛研究所・キューティー上木。2人は最後の記念撮影のときも一緒

  • 交流タイムのときも一緒

  • 来年もぜひ!

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