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コグラフが提供するAI電話番「マヤイ」 コロナ禍を機に電話の悩みをAIで解決

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「リソース不足でお客様からの電話に対応できない」「会議中・接客中の間は電話が鳴りっぱなし」なんて経験、ありませんか? ちゃんと電話対応したいのに、十分にできていない方におすすめなのが、電話代行サービスです。

さまざまな電話代行サービスがあるなか、五反田バレー参画企業のコグラフ株式会社が提供しているのが、AI電話番「Mayai(マヤイ)」。いったい、どのようなサービスなのでしょうか。Mayai室長の横山美貴さんに話を聞きました。

コグラフ株式会社 Mayai室長。複数のベンチャー企業にて新規事業を立ち上げた後、気付けばコグラフに。自社プロダクト「AI電話番マヤイ」を日々育成中。マヤイが、オフィスや店舗の頼れる&かわいい電話番としてチヤホヤされる未来を夢見る。

AI電話番「マヤイ」はどんなサービス?

ーーまずはコグラフさん自体についてお聞きします。御社はどのような業務を行っているのでしょうか。

横山 一つ目の事業として、ソフトウェアの受託開発を創業当時から行っています。もう一つは、データ分析をした上で業務の改善提案を行うデータアナリティクス事業。また、クラウド型ERPの「NetSuite」の導入支援やコンサルティングもしています。

さらに、自社サービスとして提供しているのが、今回取材いただく「マヤイ」です。

ーーありがとうございます。続いて、マヤイがどのようなサービスなのかあらためて教えてください。

横山 マヤイでは、登録後に050からはじまる電話番号を発行し、その番号に電話がかかるとAIが自動応答します。そして、お伺いした内容を文字起こししたテキストと録音データを、メールやSlackで連絡するといったサービスです。

24時間365日対応で月額500円から利用でき、シンプルで簡単に使えることが特徴です。初期費用はかからず、新たにシステムを導入する必要もありません。設定も簡単で、登録後すぐに使い始められます。

このように、導入のハードルが低く、誰でも簡単に利用できるのがマヤイです。価格の手頃さや導入ハードルの低さから、用途ごとに複数の電話番号を契約するユーザーもいらっしゃいます。

ーーマヤイにはどんな需要があり、サービスが利用されていると思いますか。また、変わった活用事例があれば教えてください。

横山 「電話対応のリソースが不足している」「外出中や接客中は電話が鳴りっぱなしになっている」「夜間や休日の問合せも漏れなく対応したい」という課題をお持ちの方に利用いただくケースが多いです。対応したいけれど、どうしても電話に出られないユーザーの代わりに、マヤイが電話番をしているイメージです。

特定の電話番号にかけるとマヤイが応答するようにしたり、「5コール以上鳴ったら」「18時以降」などマヤイに転送する条件を設定したりすることで、人が対応できない際にのみ、マヤイが対応するハイブリッド型で活用するユーザーもいます。

また、複数番号契約し、事業や用途ごとに問い合わせ窓口を分けているパターンもありますね。電話番号を選ぶこともできるので、覚えやすくプッシュしやすい番号にするなど、業種や用途に合った使い方をしていただいています。

ーー公式サイトを拝見したところ、プランは2種類とシンプルなつくりになっていますね。

横山 そうですね。プランはスタンダードとビジネスの2種類で、違いは「応答内容のカスタマイズ可否」と「月間の受電数」です。

スタンダードプランの応答内容は「架電者のお名前」「担当者名」「用件」で、「担当者名」は削除することも可能です。

一方、ビジネスプランは応答内容がカスタマイズでき、例えば、冒頭のアナウンスで現在リモートワークである旨を伝えたり、質問項目を追加して折り返し対応に必要な情報を漏れなく確認したり、さらには架電者がプッシュした番号によって対応を分岐させたりなど、業種・業態に合った応答内容にできます。

また、月間の受電数はそれぞれ50件と150件で、いずれもその数を超えると1件あたり50円が上乗せになります。

シンプルさを追求したマヤイの機能とは

ーーサービスの概要についてはわかりました。もう少し踏み込んで、具体的な機能についてお聞きしたいです。電話応答して通知する基本的な機能のほかに、マヤイではどのようなことができるのでしょうか。

横山 マイページでは、電話の通知内容の確認やプラン変更、番号変更、応答時の名乗りや通知先の変更など、マヤイに必要な設定をひと通り行えます。(2022年8月現在、ビジネスプランの応答内容を変更するページは準備中)

通知内容を確認できる「受電ページ」では、着信のあった電話番号を電話帳に登録できたり、着信ごとに「対応」「未対応」などのステータスをつけて対応状況を管理したりすることができます。

▲対応ステータスの表示例

▲電話帳機能

これまでは登録時に発行する、050からはじまる電話番号は固定の番号だったのですが、ユーザーの方々から「覚えやすい番号に変更したい」「語呂の良い番号を選びたい」という要望をいただいたため、マイページ上で変更できるようしました。番号はランクごとに月額料金が異なります。

ーー直近で追加予定の機能は何かありますか。

横山 着信があった電話番号宛に、マイページ上で折り返しやSMS送信ができるようになります。また、番号の追加契約や複数番号を1つのアカウントで管理できるようにする機能、通知先として連携できるツールの追加も予定しています。

ーー機能追加の際に重視していることや、優先順位はありますか。

横山 機能の追加は慎重に検討しています。マヤイはシンプルで簡単であることを大切にしているため、機能を追加したことによって、逆に設定が複雑でわかりにくくなってしまっては意味がありません。

ユーザーの電話対応の質や効率を上げるだけでなく、すぐに使える手軽さ・簡単さを第一に、機能の追加や変更を実施しています。

マヤイが生まれた背景と今後の展望

ーー続いて、マヤイが生まれたきっかけについて教えてください。

横山 きっかけは、コロナ禍ですね。緊急事態宣言が出てリモートワークに切り替える企業があるなか、「電話番のために出社している人がいる」という声を聞いて。そうした困りごとにコグラフの持っている技術を生かせないかと思ったのがきっかけの一つです。

ーー実際にサービスを提供していかがでしたか。提供開始前の想定と違ったことなどあれば教えてください。

横山 提供開始当初は、リモートワークに移行したオフィスがメインユーザーになるかと思っていました。しかし実際には、オフィス以外にもクリニックやサロン、宿泊施設など、幅広い業種の方々にお使いいただいています。業種によって電話に関する課題はさまざまで、マヤイがポテンシャルのあるサービスなのだと実感することができました。

ーーちなみに「マヤイ」というサービス名が印象的ですが、どんな由来なのでしょうか。

横山 「May I help you?(ご用件をうけたまわりましょうか、いらっしゃいませ)」という言い回しがありますが、「May I」の「I」を「AI」に変えて、「May AI」→「Mayai(マヤイ)」としたのがサービス名の由来です。

ーーそうなんですね。サービス提供当初からのサービスとして進化したこと、成長したことを教えてください。

横山 マヤイのミッションは「電話コミュニケーションの再発明」です。本来、電話は便利なコミュニケーションツールですが、今は電話対応が嫌だと考える方や、電話によって縛られる人がいる状況なのも事実です。

電話の便利さや楽しさを生かしつつ、新たな電話ツールを提供したいと考え、マヤイを開発しました。サービス開始当初はその第一段階で、「電話に出られない」問題を解決できるよう、マヤイが電話番をすることにフォーカスしたんです。

具体的には、電話に応答して通知するというマヤイの根幹の部分の基礎を作り、確実に提供できる環境を整えました。現在は次の段階として、受電後にユーザーがいかに対応をスムーズに、ストレスなく、効率的に行えるかにフォーカスして開発しています。具体的には、先述したマイページやオプション機能の拡充です。

開発以外では、サービスの打ち出し方も変わりました。マヤイがスタートして2年経ったので、ユーザーと一緒にサービスを育てていきたい・愛着を持ってもらえたらと思い、「まやいちゃん」というAIの女の子をキャラクターにして、世界観も含めてメルマガやSNSでPRしています。

ユーザーに「まやいちゃんが〜」と呼んでいただいたり、「メルマガやSNSの更新を楽しみにしています」というお声をいただいたりするとうれしく思います。今後も、サービスの楽しい雰囲気やAIサービスらしくない「人間味」を出せるコンテンツを通じて、マヤイのファンを増やしていきたいですね。

ーー最後に、今後の展望をお聞かせください。

横山 次のステップとして考えているのは、会話UXの向上です。ユーザーだけでなく、マヤイ宛に電話する架電者にとっても快適であることが必要です。マヤイを利用していただいているユーザーの先にいるお客様を大切にできるサービスでいたいと考えています。

ただ単に電話業務を効率化したいからマヤイを使うのではなく、「本当は電話対応をしたいのだけどリソース不足。電話代行サービスはお客様とのコミュニケーションに不安がある……」と悩んでいらっしゃる方にもマヤイを選んでいただけるよう、開発を続けていきます。

いま考えているのは、受電した後にユーザーが行う対応(折り返しやメッセージ送信)などもマヤイで簡単にできるようにすることです。もちろん、どのような機能が追加されたとしても、ユーザーがすぐに設定できる状態で提供することは変わりません。

電話を受ける側も架ける側もストレスなく、便利で快適なコミュニケーションを実現できるよう、マヤイの開発を加速させます。プロダクト自体はどんどん進化させていきますが、ユーザーの方々のお声を反映できるよう、ヒアリングの実施やコミュニティの活用など、サービスの世界観や温度感は大切にしていきたいと考えています。

文=杉山大祐/編集=ノオト

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