五反田の「果て」はどこにあるんだろう?
いつもの五反田で、ふと思いました。
山手線が走り、どことなく雑然としたこの街。
見慣れてはいるけど、知り尽くしているわけではない。
いつもの道から一本外れるだけで、その先がどこに伸びているかさえ分からない……。
五反田から五反田らしさが薄れる地点って、どこにあるんだろう?
今日はちょっとだけ、五反田を自由気ままに歩いてみよう。
街の雰囲気を味わって「五反田らしさ」を感じながら。
今回は五反田駅から目黒方面に向かって散歩し、五反田の「果て」を探しに行きました。
【歩いた人】
ゆきみち:散歩大好き大学生
森:編集担当、五反田勤務5年目
五反田駅からスタート 「ここは明らかに五反田」
果てを探すなら、まずは中心からスタートしよう。ということで、五反田の皆さんにはおなじみのJR五反田駅に集合しました。山手線の高架がガタンゴトンと音を立てるいつもの五反田です。
今回は、各地点で「ここは五反田か」を話し合う五反田会議を行いながら歩きます。まずは駅前で話し合いです。
ゆきみち「ここは明らかに五反田ですね!」
森「右を見ても左を見ても五反田です。今日も人通りが多い」
いつもの駅前
目黒川へ
まずは駅前から桜田通りを南西に進み、目黒川を目指します。
五反田駅前、桜田通り
森「桜田通りって、あの『桜田門外の変』の桜田なんですかね?」
ゆきみち「みたいですよ! この道を反対方向にずっと歩いて行くと、皇居の桜田門に至るらしいです」
そうこう話しながら歩いていると、大きな交差点に差しかかりました。
道だと思ったら巨大な橋だった
横断歩道を渡ると、「ごたんだおおはし」という文字が目に入りました。
ずっと続く長い道路だと思っていた桜田通りですが、実は目黒川と交差する地点は大きな橋になっていたのです。道が広すぎて考えたこともなかった。
「五反田大橋」
ゆきみち「”五反田大橋”が架かっている街といえば……」
森「絶対に五反田ですね」
というわけで、五反田大橋の周辺は余裕で五反田でした。果てはまだまだ遠そうです。
ゆきみち「ここから池上線、ぜんぜん見えるし。池上線が見える場所が五反田じゃなかったら一体どこなんだ」
目黒川沿いを進むも「まだ五反田」
五反田大橋を渡らずに右折し、目黒川沿いを歩くことにしました。
川沿いを進んでいくと、「ミート矢澤」を発見。
ハンバーグとかステーキとか、めちゃくちゃ美味しい名店だそうです。社会人になったらいつか食べてみたい……。
森「五反田の人気店ですね!」
ゆきみち「五反田の人気店がある場所は……」
森「五反田ですね」
というわけで、目黒川沿いもこのあたりのエリアならまだ五反田だと分かりました。
ほかにも、周辺には「五反田」の地名を擁した建物や駐車場がいくつかありました。この場所がまだ五反田であることの証明です。
首都高目黒線「いちおう五反田…?」
川沿いをさらに進むと、先ほどの桜田通りとは別の大通りに差しかかりました。上方には高架が伸びていて、車の音がビューンビューンと聞こえてきます。
ゆきみち「ここ、初めて来ました。どこ?」
森「いまスマートフォンで検索してみたら、高架は『首都高速2号目黒線』というみたいです」
目の前の道は、五反田TOCの近くで分岐する第2京浜の片割れでした。1本は先ほどの桜田通りになって、もう1本がこの大通りになるそう。ここから更に目黒方面に進むと麻布十番の方に通じます。
ゆきみち「確かに、高架があってちょっと暗い雰囲気は麻布十番と似てるかも」
新たな大通りに出合って雰囲気が変わったところで、今来た道を振り返ってみました。
さて、ここは五反田でしょうか?
ゆきみち「池上線はまだ見えますね、一応。ってことは、まだ五反田?」
森「えーと……?」
ゆきみち「ギリギリ見えます!」
森「あっ、本当だ。だけど、さすがに遠すぎる気もします」
ゆきみち「たしかに……。ちょっと周辺もチェックしてみましょう!」
「ここは五反田なのか?」を確かめるべく周囲を見わたすと、大変なものを見つけました。
薄れゆく五反田
ゆきみち「これは、五反田の……破片!? 五反田が消えかかってます!!!!」
森「不動産のチラシが破けているんですね! 五反田が薄れつつある……ってこと?」
森「でも、この先に建っているビルの看板は、『富士フイルム五反田』です」
ゆきみち「ということは、ここはまだ五反田なのか……」
確かに、この場所で五反田は消えかかっていました。とはいえ、池上線が見える、ビルの名前になっているなど要素は残っているので、まだ五反田だと判断します。
目黒線に接近「もはや五反田ではない」
さらに川沿いを進みます。
ただ、ここまで進むと明らかな景色の変化に気がつきました。
こういう感じ
森「マンションが増えましたね」
ゆきみち「さっきまでは雑居ビルだらけだったのに。しかも1つ1つの建物が巨大化したような」
景色が切り替わり、疑惑が深まってきました。ここは五反田なのか?
ゆきみち「あれ?」
ゆきみち「正面に走ってるの、東急目黒線ですよね!?」
森「ですね~。目黒川と交差するように、目黒駅と不動前駅をつなぐ高架が通っているんですね」
ゆきみち「来た道を振り返ると、ここから池上線は……」
ゆきみち「見えない」
景色が全く変わり、背後の池上線はもう見えず、正面を目黒線が走っている……。
ゆきみち「もやは五反田ではない……」
周辺のマンションも建物名に「目黒」を擁していました。
ゆきみち「一応、ここは西五反田2丁目なので地名的には余裕で五反田のはずですが」
森「実際の住所と歩いたときの印象はちょっと違うのかもしれないですね」
さらに進むと東急目黒線が目の前に。五反田要素がどこにもない
結論:五反田の「果て」は
というわけで、五反田の中心地を出発し、目黒方面を進み五反田とは思えないエリアまで歩いてきました。改めて、五反田の「果て」はどこだったのでしょうか?
ゆきみち「やっぱり、ちぎれた五反田のチラシがあった首都高のあたりが境界だった気がします」
森「そうですね。そこから先は、五反田と言われて想像する景色とはちょっと違っていました」
五反田と書かれた不動産チラシが破れていたあたりからは、周辺の建物がマンションになって雰囲気が変わったように思います。
以上をもって、今回の散歩で見つけた五反田の「果て」は、首都高速2号目黒線の真下にあたる地点と結論づけます。
ちなみに、五反田駅からここまで歩いた距離は約420メートル。
今回は五反田駅から西に歩いたので、東・南・北の方面も歩いてみると、自分なりの五反田の輪郭をなぞれるかもしれません。
五反田に帰ろう
五反田の果ては晴れていました。さて五反田の中心に帰ろう。川沿いから一度離れて、山の手通りに向かいます。
ゆきみち「あ、また五反田っぽくなりました」
森「うーん、やっぱり何か雰囲気が違いますよね」
改めて、五反田らしさって何なのでしょうか?
森「さっきまで歩いていた川沿いは大きくてきれいなマンションが並んでいたけど、五反田といえば雑居ビルや小さな看板が一度に視界に入ってくる感じがします」
ゆきみち「たしかに!ごちゃごちゃしてると五反田っぽいような」
ゆきみち「あとは、ここからだと城南信用金庫の建物が見えるのも大きいですね。駅周辺の大きな建物が見えると、まだ同じ街にいる気がします」
城南信用金庫 本店ビル(写真正面)。TOCやパーク24グループ本社ビルなど、大きな建物は五反田らしさの目印になっている
ゆちみち「あとは車ですね。車が走ってないと五反田って感じがないかも」
森「たしかに! 大通りが交差して首都高があるし、車は外せないですね」
この日は通行量が少なめでしたが、五反田の街はいつも車が走っている
雑居ビルに小さなモノがごちゃごちゃあって、せわしなく車が走り抜ける街。五反田の輪郭が掴めたような気がします。
やっぱりごちゃごちゃしてる
時代と共に移り行く五反田の街。それでも、五反田は五反田であり、周辺の街とは別の雰囲気や人の流れを感じます。あなたも街を歩いて、五反田の輪郭を探してみませんか?
取材・文:ゆきみち
散歩大好き大学生。運動不足なので、五反田駅の山手線ホームから池上線に乗り換えるときは階段を使います。
Twitter:@cf_ref
編集:ノオト
※記事内の地図は地理院地図(国土地理院)を加工して作成